Kitabı oku: «地球への旅», sayfa 4

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ナーシリーヤ – ディナーの席

大佐とエリサは三杯目のシャンパンをすでに飲み干しており、二人の間の空気は明らかにくだけたものになっていた。

「ジャック、このマスグーフはまさに神への捧げ物といったところね。とても食べきれそうにないわ。大きすぎて」

「ああ、本当にすばらしい。シェフに挨拶をしておくべきだな」

「このシェフと結婚しようかしら。料理を作ってもらえるわね」エリサが少し大げさに笑いながら言った。アルコールが利きはじめたようだ。

「いいや。順番待ちをしてもらわなくては。私が先だ」大佐はこのジョークを敢えて口にしながら、このような言い方が不適切でないことを願った。エリサはそしらぬふりをして、チョウザメを食べ続けた。

「本当に独身?」

「ああ。時間がなくてね」

「よく聞く言い訳だわ」エリサがいたずらっぽい表情で言った。

「実は一度、結婚の一歩手前までいったことがあった。しかし、軍隊での生活は結婚生活にはそぐわないものでね。ところで君は?」まだ心に痛みを残している話題を逸らして、付け加えた「君は結婚は?」

「ご冗談を。モグラのように地価を掘り進んで何千年も前の墓場を掘り返すのを楽しみに世界中を飛び回っている女を、わざわざ選ぶ人なんていないわ」

「なるほどな。君は家庭に収まる器じゃない」大佐は苦笑し、グラスを掲げて感傷的に言った「我々に」

その哀愁の瞬間にちょうど割り込むように、ウエイターが焼きたてのサモーン13 を数個、追加でテーブルに運んできた。

この割り込みに感謝しながら、ジャックは急に心によぎった一連の思い出を振り払おうとした。もう過ぎたことだ。今は、美しい女性とテーブルを共にしており、彼女に集中しなくてはならない。そしてそれはたやすいことだった。

二人を取り巻く穏やかなBGMはまさにその場にぴったりだった。テーブル中央に置かれた三本のキャンドルの光の中で、エリサはすばらしく美しく見えた。髪には金色と銅色のハイライトがかかり、すべすべとした肌はブロンズ色に日焼けし、鋭敏な瞳は深い緑をたたえていた。柔らかい唇で、指でつまんだチョウザメの身を骨から引きはがそうとしている。とてもセクシーだ。

エリサが大佐が隙を見せた瞬間を見逃すはずはなかった。骨を自分の皿の縁に置くと、明らかに無頓着に指に付いた汁を吸い取った。頭を低くして、大佐をじっと見つめた。大佐はといえば、心臓が胸から飛び出して皿に乗ってしまうのではと思うほどだった。

この場の主導権をもはや自分が握っていないことを自覚し、大佐は自制心を保とうとした。恋わずらいをしている男子学生のように振る舞うには年を取りすぎていたが、エリサにはなんともいえない抗しがたい魅力があった。

深く息を吸い、大佐は両手で顔をぬぐうと、やっとの思いでこう言った「二人でこの最後の一切れを食べきれるだろうか?」

エリサは微笑むと、チョウザメの最後の一切れをそっと手に取り、座ったまま前に身を乗り出して、大佐の口までそれを運んだ。この姿勢で、ドレスのネックラインがわずかに下がり、彼女の豊かな胸元が露わになった。大佐は明らかにどぎまぎした様子で、一口だけかじり取った。しかし、エリサの指が自分の唇に触れるのを避けることはできなかった。興奮が高まるのを感じた。エリサは猫が鼠を弄ぶように大佐を弄んでいた。大佐はそれから逃れることができずにいた。

そして、無邪気な少女の雰囲気で椅子に深く座り直すと、エリサは何事もなかったかのように、背の高い痩せたウエイターに合図をした。ウエイターはすぐにテーブルまで来た。

「そろそろおいしいカルダモンティーの時間よ。いかが? ジャック?」

大佐は今しがた起こったことから身を持ちなおそうとしながら「あ、ああ、いいだろう……」というような趣旨のことを何とかもごもとと言った。ジャケットを直し、よりくだけた口調になるよう努めながら「消化にはいいだろう」と付け加えた。

間抜けなことを言ったという自覚はあったが、この状況で他の言葉が思い浮かばなかった。

「すべてがとても心地良いわ。すてきな晩ね。でも、今晩なぜここで会うことになったか、忘れないようにしましょう。お見せしたいものがあるの。憶えていらっしゃる?」

この瞬間、大佐は仕事のことだけを考えた。いかにも。彼女は正しい。ばかげた恋愛ごっこなどより、ずっと重大なことがあるのだ。彼にとって、実はその恋愛ごっこもそうばかげたこととは思えなくなっていたが。

「もちろんだとも。何を発見したのか、ぜひ聞かせてくれたまえ」大佐は威厳あるトーンを再び取り戻そうと努めながら言った。

この時点で、会話のすべてに聞き耳を立てていたレストラン近くに停められた車の中の太ったほうの男が叫んだ「なんてアマだ! 女は皆同じだ。月にでも上ったような気持ちにさせておいてから、何事もなかったかのように地面に叩き落とす」

「どうやらお前の十ドルはじきに俺の財布行きのようだな」痩せたほうの男が言い、腹の底から笑い転げた。

「実を言うと、誰が博士と寝ようと、俺にとってはどうでもいいのさ。忘れるなよ、俺たちがここにこうしているのは、ひとえにあの女が何を知っているのか探るためだ」腰が痛みはじめたため、座席のもっと座り心地の良い位置を探りながら痩せたほうの男が言い、そして付け加えた「あのいまいましいレストランの中にカメラを仕掛ける方法を見つけておくべきだったな」

「そうだな。テーブルの下にでも。教授の太ももがじっくり拝めるようにな」

「あほ。どこのどあほうがお前なんかをこのミッションに選んだんだ?」

「ボスだよ。あのお方を侮辱しないよう、警告しておくぞ。盗聴器についてはお詳しいんだ。この車にだって、盗聴器を仕掛けているかもしれない」

太ったほうの男がたじろいだ。一瞬、心臓が止まったかと思った。彼は出世を狙っており、直属の上司を侮辱することは、明らかに昇進を妨げることにつながる。

「ばかを言うのはやめろ」真面目なプロらしい口調になるよう努めながら言った「さっさと仕事を済ませて、具体的な成果を挙げて基地に戻ろうぜ」。そう言いながら、蒸気でわずかに曇った車のフロンガラス越しに、ぼやけた夜空の闇の中の一点を見つめた。

エリサはバッグから愛用のコンピュータを取り出し、テーブルの上に置いて写真をスクロールしはじめた。大佐は好奇心を掻き立てられ、画面上に表示されているものをよく見ようとしたが、角度が悪いため、うまくいかなかった。エリサは探していたものを見つけると、席を立って大佐の隣に座った。

「さあ、どうぞ楽にして。長い話になるから。できるだけ手短に話すようにはするけれど」

コンピュータの画面を下にすばやくスクロールし、奇妙な絵と楔形文字の刻まれた銘板の写真のところで手を止めた。

「これはエルサレムの王、ボードゥアン二世の墓で見つかった銘板のうちの一つよ。1119年にマクペラの洞穴、別名『長老の丘』を最初に開いた人物とされている。その洞穴は、アブラハムと息子のイサクとヤコブが埋葬された場所といわれている。この地下の墓は、西岸地区のヘブロンにある、現在はモスク、またの名をアブラハムの神殿と呼ばれているところの下で見つかった」エリサはここでモスクの写真を大佐に見せた。

「これらの墓の中には、他の物と一緒に、アブラハム王の所持品と思われる銘板一式も埋葬されていたの。銘板は、王の人生における最も重大な出来事が綴られた、王自身がつけていた一種の日記だとも信じられている」

「王の旅行日誌だ」この一言が良い印象を与えることを願って、大佐が言った。

「ある意味では、正しいわね。この時代の人物としては、彼は多くのことを旅行中に書き留めていた」

エリサはスクロールして別の写真を表示させ、説明を続けた「この時代を得意とする言語と象形文字の著名な専門家たちが、この銘板に記録されていることを解読しようと試みた。いくつかの点では、意見は明らかに分かれたけれど、この点では皆の意見が一致したの」。そこで、写真のある部分を拡大表示した「これは『器』または『神々のアンフォラ』と解釈できるということと、その後に、これも非常にはっきりと読み取れる『埋葬』、『秘密』、『保護』という言葉が続いているということ」

大佐は少し混乱してきたが、エリサには完全に理解していると思わせるよう、うなずいた。エリサは一瞬大佐を見てから、続けた。画面を調整して画像ができるだけ鮮明に見えるようにする「一方、この記号は、一部の専門家に言わせれば、墓と、神の墓を意味している。この部分は神からの警告、または神の周りに集まる人々に対する威嚇ともとれる」

大佐は、アルコールと、エリサから匂いたつ香水にやられて、また、エリサの視線に魅了されて、彼女の言っていることを理解できなくなっていた。それにもかかわらず、「何も問題がない(オール・クリア)」かのように、うなずきを続けた。

「端的に言うと」エリサは大佐が混乱しているのに気づいた「専門家はこの銘板の内容はアブラハム王の時代に起こったことの記述で、銘板はその時代に神とされていた者、または広義な意味での神の墓の近くに隠された、または埋められたと解釈したの。とても貴重な物よ、少なくとも、この時代の人々にとっては」

「いくらか理論が飛躍しているようだが」この件について何か意見を言っておこうと、大佐が口を開いた「貴重なものが神の墓の近くに埋められたとは言っても、GPS座標で示されたわけでもない。何とでも、場所もどことでもとれる」

「そのとおり。でも刻まれている記号や文字はすべて、特に年代のかなり古いものは、解釈と文脈付けのために調査する必要があるわ。そのために専門家が現地にいるのだから。私もその一人ですけれどね」エリサはそう言いながら、パパラッチのカメラの前に立つモデルのようにポーズをとった。

「オーケイ、分かったとも。君がどれほど優秀かは分かっている。しかし当面のところ、神ならぬ身としてはっきりと説明してもらおう」

「基本的に」エリサは一息ついてから続けた「史実、伝説、噂も含めあらゆる種類の歴史的発見を分析、比較した結果、世界最高の頭脳の持ち主の間で一致した意見は、その埋蔵物に真理が隠されているということなの。これを根拠として、その謎の埋蔵物を探し出すために、世界中から考古学者が集まってきている」

「しかし、それとELSADに何の関係がある?」大佐の脳の働きがようやく正常に戻りはじめた。「この調査の目的は、宇宙からの想像上の遺物を回収することだと聞いているが」

「まさしく、その遺物こそがこの埋蔵物かもしれない。現在では、地球上を旅してまわっていた古代の『神々』は、太陽系外の惑星から来た人類に似た生命体だったと広く信じられているの。技術的に、特に医学と科学の分野で当時の人類よりはるかに優れていたため、奇跡を起こす神と誤解されたとしても不思議はない」

「なるほどな。アマゾンのど真ん中で暮らす原住民の前にアパッチ攻撃ヘリで現れて、ミサイルを発射すれば、私だって怒れる神と間違われるだろうな」

「まさに当時の人々にとっては、同じような効果があったのよ。ホモ・エレクトスに知性の種を植え付けたのも、その異星人だったと信じている人もいる。そのおかげで、ホモ・エレクトスはたった数万年の間で、現生人類、ホモ・サピエンス・サピエンスにまで進化することができたと」

エリサは大佐を注意深く見た。驚きの表情を見せているのを確認してから、とどめの一発をお見舞いすることにした。「実を言うと、この発掘調査の責任者として、あなたにこのことをお話しておく必要があると思ったの」

「同感だ」大佐は衝動的に口走った「明らかに、当局の人間は『言葉数は少なく』という方針に従っているようだが」先ほどの感傷的な感情が怒りに取って代わろうとしていた。

エリサはこれを感じ取り、コンピュータをテーブルの上に置いて、大佐に顔を近づけた。大佐はエリサがキスを迫っているのではないかと、一瞬息を呑んだ。「まあ、幸いにも……」彼女は言った。

エリサは自分の椅子の位置をすばやく元に戻すと、もう一枚写真を見せた「この悪名高い『神の墓』、全能の神の墓を、皆がエジプトじゅうのピラミッドをひっかきまわして血眼で探している間、私はこの銘板に刻まれている内容について、別の解釈をしたの。こちらのほうが正しいはずよ。これを見て」エリサは満足げに、彼女自身の解釈に従って楔形文字を解読した画像を大佐に見せた。

レストランでのエリサと大佐の会話に聞き耳を立てていた二人の男は、今、エリサが大佐に見せている写真を見る為なら、どんなことでもしただろう。

「くそっ!」太ったほうの男が言った「なんとしても、あのパソコンを手に入れなくては」

「奴らのうちのどちらかが、声に出して読むのを祈ろう」痩せたほうの男が言った。

「このロマンチックなディナーも、じきにお開きになってほしいものだな。暗がりの中に座っているのは、もううんざりだ。何より、猛烈に腹が減ってきた」

「腹が減っただと? どういうことだ? 今、俺の分のサンドイッチまで平らげたばかりだろうが」

「まだ残してあるんだ。あと一切れ。今片づけちまうがな」太ったほうの男は体を慎重にねじると、後部座席の袋からサンドイッチを取り出した。しかし、体をひねった拍子に、膝が録音装置の電源スイッチに当たった。録音装置はかすかにピーという音をたて、電源が切れた。

「このドジの大バカが! そんなに俺に構ってほしいってか?」痩せたほうの男が急いで録音装置の電源を入れ直した「装置を再起動しなくちゃならん。少なくとも一分はかかるぞ。その間に奴らが重要なことを言わないのを祈るんだな。そうでなかったら、お前のそのどでかいケツをペルシャ湾につき落とすぞ!」

「すまん」太ったほうの男がしょげた様子で言った。「そろそろダイエットでもはじめたらどうだ」

「神は寺院の南に貴重な品を入れた器を埋め、人々に、自分が戻るまでそれに近づかないようにと言いつけた。その言いつけを破れば、万国に災いが及ぶであろう。その場所を守るため、四人の光り輝く番人が置かれた」

「これが私の解釈」エリサが得意げに言った「私が思うに、正しくは『墓』ではなく『寺院』で、私が調査を進めているウルのジッグラトは、紛れもなく、神のために建立された寺院よ。このエリアには確かに多くのジッグラト(日干し煉瓦を積み上げて建てた巨大な聖塔)があるけれど、おそらく、ウルのジッグラトほど、この銘板に文字を刻んだ本人、アブラハム王の家から近いものはないわ」

「非常に興味深い」大佐は楔形文字をしげしげと眺めた。「アブラハムの家として皆に知られている場所は、この寺院からほんの数百メートルの位置にある」

エリサは続けた「それに、本当に異星人のものだとすると、この「器」が軍隊にとってどれほど興味深いものか、想像に難くないわね。おそらく単なる「貴重な品」よりは魅力的でしょう」

大佐は少しの間考え込んでから言った「それこそまさに、ELSADがこの調査に関与している理由だ。埋められた器は、単なる陶製の器以上のものかもしれないということだな」

「よくできました。さて、ここからが核心よ」エリサは芝居がかった声を上げた「レディース・アンド・ジェントルマン、今から、今朝私が発見したものをお目にかけましょう」

エリサが画面に触れると、新たな画像がパソコンに映し出された「銘板にあるのと同じ記号だ!」大佐が言った。

「そのとおり。でも、今日撮ったのはこの写真だけじゃないの」エリサは喜びを感じながら言った「明らかに、アブラハム王は、「神」を表すのにシュメール人が既に使用していたものと同じ記号を使用している。一つの星に、それを取り巻く十二の惑星。そして偶然にもそれは、私たちが今まさに掘り起こそうとしている「器」の蓋に刻まれていた記号と同じなの」

「それに意味があるとは限らんぞ。単なる偶然かもしれん。何百もの意味にとれる記号の可能性もある」

「そうお思いになって? では、これはいかがかしら?」エリサはそう言うと、最後の写真を大佐に見せた「ポータブルX線撮影装置で、器の外側を撮った写真よ」

大佐はただ驚きに目を見開いて見入るしかなかった。

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